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「貴方、どうするつもりなんですか」

背後からかけられた声にスネイプは足を止めて振り返った。
同じ寮だというのにこうして会話をするのは久しぶりだ。思えば、ルーシーとスネイプの関係が公になってからというもの、彼――レギュラス・ブラックはスネイプを避けていたように思える。
それまでは挨拶くらいは交わす仲だったというのに。

「どうする、とは?」
「分かっているでしょう」

僕は『ブラック』ですよ。レギュラスは言い放つ。
随分と似ていない。スネイプはそう思った。昔からそう思っていた。

あちらのブラックと、こちらのブラックはまるで正反対だ。
かつては兄弟として仲良く遊んでいた頃だってあったかもしれないが、今では口を利くことすらしないのではないだろうか。この兄弟の関係など興味はない。
だが、ここにきてレギュラスがスネイプに話しかけたということは到底見過ごせないことである。

「君は『そう』なのか、レギュラス」
「当然です」

僕は『ブラック』ですから。
繰り返された言葉に、レギュラスの家に対する思いが見て取れる。
本当に。つくづく正反対だな。心の内で呟いてスネイプはレギュラスに背を向けた。

「君に答える必要はない」
「貴方は間違っている」

突き放し再び歩き出そうとしたスネイプの背に即座に返ってくる声は、明らかにスネイプを非難するものだ。
そのまま足を進めようとして、けれど反射的に足を止めてしまったスネイプは、それでも再び振り返ることはしなかった。

「貴方は、間違っている」

まるで、スネイプの出した答えを知っているかのように。

「貴方は、何も分かっていない」

まるで、スネイプを考え直させようとしているかのように。

「――分かっていないのは、僕だと思うか?」
「えぇ」

確信を持った響きに笑みが浮かぶ。

「そうかもしれないな」

再び歩き出したスネイプを、今度は止めない。
遠ざかる背中を見送ったレギュラスは、誰も聞き取れないくらいの呟きを漏らす。

「僕は、貴方が嫌いじゃなかった」

消えた背中を思い出して溜息を一つ零したレギュラスは、無意識に自身の左腕へと触れた。
ローブに隠されたそこに存在するのは、本来ならば存在してはならないものだ。
けれどレギュラスはそれを受け入れた。それが正しいと信じているから。

信じている。信じているのだ。
あの方を、両親を、親戚を。

「貴方は何も分かってない」

それはスネイプに向けたものなのか、家を飛び出した兄に向けたものなのか。
呟いたレギュラス自身にも分からなかった。