外にいた数人の生徒が駆け込んできたのは数分前だ。
グランド高校の人たちが乗り込んできた!!
しかも、見た!?
見た!! ルフィ君だよ!! モンキー・D・ルフィ!!
サンジ君もゾロ君もいたよ!!
え、嘘!? 私見てない!
色めき立つ女子生徒たちが口々に叫ぶのを、相川健二は僅かに顔を顰めて見ていた。
なぁ、何でそいつらが来たの?
さぁ?
私、見た! あの子と一緒だったの!!
あの子? ――って、まさか……
そう!! 桜井リサ!!
思いがけず上がった名前に、誰よりも驚いて。
彼らに護られるようにしてこっちに向かっていると聞いて。
どうして。その言葉だけが頭の中を埋め尽くした。
どうして。
どうして。
どうして。
疑問は解消されないまま、彼らは教室に現れた。
クラスメイトの言う通り、彼らに護られるようにして教室に足を踏み入れたリサはいつものように無表情で。
けれど、どうしてだろう。
その身に纏う空気が、いつもと違うように思えた。
「テメェ、何してんだよ!!」
「何でアンタがこの人たちと知り合いなのよ!?」
「そうよ! どうやって取り入ったわけ!?」
向けられる敵意にも、飛んでくる罵詈雑言にもリサは表情を変えない。
無表情のままのリサの目が教室をぐるりと見渡し、その視線がこちらに向けられて――
ぱちり。
かち合った。
いつぶりだろうか、彼女と目が合ったのは。
体育館裏に呼び出した時にも目が合ったような気がするが、こんなにしっかりと合ってはなかったように思える。
そこまで考えて、思い出した。
あぁ、そうだ。
彼女は一度だってこちらを見なかったのだ。
ただの一度だって、こうして向き合ってくれたことはなかった。
漸く。
漸く、見てくれた。
漸く、受け入れてくれたのだ。
「アイツか?」
思わず緩みそうになった顔は、けれどリサの隣に立つ緑色の髪の男がリサに話しかけたことで逆に強張った。
さも当たり前のように隣に立つ男。
男も、リサも。
そこにいる事に何の違和感も抱いていない。
リサが頷き、男の視線がこちらへと向けられた。
「――、」
絡み合った視線。
無表情のままの男から、ぞんざいに向けられた視線。
けれど。
そこに確かに存在する、明確な敵意。
まるで、鋭い爪を隠す獣のように。
無表情という仮面に隠された、限りなく殺意に近いそれに。
背筋が冷たくなった。