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生理的に受け付けない存在である彼女は、けれど同時に大切な家族という存在でもある。
だからこそ、厄介なことにはしたくない。
ハルタには早々にリィシャへの嫌悪感を見抜かれてしまったが、他のクルーにはおそらく知られていないはずだ。

――もしかしたら、鋭いイゾウ辺りには気付かれているかもしれないが。

そう考えてリサは首を振った。
別に隠しているわけではない。苦手なものは苦手なのだ。仕方ないことだ。
万が一気付かれていたとして、おそらく理解した上で何も言わずにいてくれているのだろう。
生理的な嫌悪は第三者にはどうすることも出来ないのだから。
しかし、困ったことに本人たちにもどうすることも出来ない事柄であるのもまた事実だ。

だからこそ、極力関わりを持たないというのが一番無難な結論なのだろう。

大切な家族であるが、受け付けない。
受け付けないが、大切な家族。

ならば、リサに唯一出来ることは、大切な家族であるリィシャをうっかり傷つけてしまわないように距離を取ることである。

現に、それを実践してきたからこそリィシャは今も毎日笑っていられるのだ。
全力で自分の仕事に取り組み、家族の誰もに愛され、幸せそうに笑っているのだ。

それでいい。

自分だけがストレスを溜めていくのはずるいと思わなくもないが、それも仕方のないことだ。
リサとて、好きでリィシャの存在を嫌悪しているわけではない。どうしても受け入れられないと理解してしまったからこそ、こうして離れている。
そのことで自分だけがストレスを貯めていくことに関しては、やはり苛立ちを覚えずにはいられないが、それもまた仕方のないことだ。

仕方がない。

そうやって自分に言い聞かせるしかないのだ。

自分を護る為に。
彼女を護る為に。

ひいては、船の平和を護る為に。





「あの……っ、わ、私はっ、リサさんとも仲良くなりたいんです……!!」





リサの必死の努力が水の泡と化すその瞬間を、一体誰が想像出来ただろうか。
リサは勿論、リィシャも、ハルタも、あの鋭いイゾウでさえも想像出来なかったのではないだろうか。

あっさりと努力を水の泡としてくださった張本人は、全身を緊張させながら自分よりも遥かに背の高いリサを必死に見つめていた。